インドの布をさらっと広げると、手仕事の心のこもった出来映えや美しさには本当に圧倒されてしまいます。こうした紡ぎ、織り、染めなどの技術の源は、300年とも400年ともいわれ、親から子へと受け継がれているといいます。紺碧の空や息づく熱帯植物の緑、混沌とした人々のざわめきや、果実の鮮やかな色、様々な香りなど。ゆったりと時は静かに流れても、こうした生活に欠かせぬ布技術の精巧さは現代の奇跡です。 手工芸のテクニックはそれこそ多彩にあふれ、マハラジャに献上される賛を費やした精密なものから庶民のための素朴なものまで。また、地方ごとに特色ある布が作られています。いずれも単色、多色刷りと様々ですが、シンプルな小花やペイズリ−などの細やかな柄物や象などをモチーフにしたパターンも人気を博しています。 まさに、インドは豊富なる布にあふれたる”布の国”なのです。 |